2008年10月18日

己を見つめ直す旅

大げさな題名ですが、前回の甲斐駒合宿の時に、
車の手配に失敗して、久しぶりに道場のある日野春駅まで、
電車を使っただけなのです。

でも色々と思うことがありましたので、
こんな題名になりました。

稽古用具と宿泊用品だけなら問題ないのですが、
問題は神棚用の道具・・・手が足りません!
しかし、これが無いと道場が成り立ちません。
宅急便で送ることも考えましたが、
準師範代の車に積んでもらうことにしました。

思い起こせば×年前、
初めて甲斐駒道場に行った時のことです。
結果的には某氏に騙された形となり、小淵沢駅で降りて、
そこからダクシーを使いました。

カチャ・・・カチャ・・・カチャ・・・

メーターは非情に回っていきます・・・。
目的地までの、何とまあ遠いこと!
おいおい!
ここまでの電車代より高いのか!!
一体どんな山奥の道場へ向かっているのだ!!!

田舎だし剣道だし、そんなにお金を使わないと思っていたので、
そんなに大金は用意していません。
全身に冷や汗をかきながら、
一刻も早く目的地に着くことを祈っていました。

到着してみると・・・そこは予想とは違い人里にある道場です。
初めてお会いする道場の奥さまにご挨拶し、
小淵沢からタクシーで来たと言ったら、奥さまから絶句されました。

・・・日野春駅の方が圧倒的に近かったです。

その後は立派で上等な道場で稽古しましたが、
今から比べれば氣力、体力、精神力と全てが億分の一です。
汗を吸って行きより遥かに重くなった荷物・・・。
これを背負いながらの岐路の、何と辛かったことか!

往復交通費と荷物の重さを考えたら、車を借りて来るのが良いのかな?
以来、ペーパードライバーを返上して、
東京〜甲斐駒間を車で往復することにしました。

久しぶりの電車での旅・・・しかも各駅停車の旅。
藤野、勝沼、大月、などなど見知った地名が出てきます。
しかし、見知った風景はひとつもありません。
同じ場所への旅なのに、交通手段が違うだけで、
印象がこんなにも違うのです。

「勝沼?自動車で何度も通っているからよく知っているよ。」
「○○さん?学生時代からの付き合いだよ」
「柔道?キャリア10年で背負い投げが得意です」

勝沼の高速出口の印象と、勝沼駅から見た風景は全く違いました。
学生時代からの旧友でも、家庭人としての彼のことはよく知りません。
その同じ10年で寝技の専門家になっていたら・・・。

何かを知っていると言うことは、何かを知らないこと。
正に無知の知・・・いえ、知の無知でしょうか?

帰りは後輩の一人が勝沼まで車で送ってくれたので、
勝沼から電車で帰りました。
連休中ですので、どんなに混んでいるかと思っていましたが、
ほとんど座って帰ることができました。

いや〜、その楽なこと楽なこと!
途中の乗り換えでは、荷物の重さで肩が抜ける辛さですが、
一旦乗ってしまえば、快適、快適。

命懸けの稽古の後だからより良くわかりますが、
天井が高く、左右の空間に余裕があることの何と楽なことか・・・。
もちろん狭い空間に居る安心感はありませんが、
私は子宮回帰願望は希薄なようで、
広い場所で手足を伸ばせる方が好みです。

車が人の身体のことを考えていない、
非人間的な道具だということがよくわかりまいした。
何時も帰宅すると運転の疲れで、
首から背中から腰から脚までカチカチになっていましたが、
今回は全くそのコリと疲れがありません。

車が無いと生活の成り立たない、米国のような場所で生活する人達は、背中がカチカチなのでしょうね・・・。

米国は今、カチカチ山でしたね。

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2008年09月20日

一勝一敗

昨日まで山形に滞在していようが、
本日台風が到来しようが、土曜日になれば士道会の朝稽古。
お陰さまで台風さまは海を走り抜けたようで、
「晴天なれども波高し」の台風一過の良い天気です。

問題は山形行。
車よりは楽ですが、長距離の高速移動は身体に応えます。
さぼりたくなかったと言えば嘘になってしまいます。

本日は総師範を筆頭に、門弟の多数は出雲参りですので
塾頭と流長の居残り稽古です。
次席師範と三男さまが稽古を付けてくれました。

横文字で言うところの、まん・つー・まんと言うやつですね。
一番恐れていた師範の方が多いという状態は回避されました。

邦楽の仕事もある次席師範は、藝術の秋は特にお忙しいので
なかなかお目にかかることができません。

一月はお会いしてなかったでしょうか?
日々の稽古の成果をお見せする時が来ました。

「剣道は一月前より上達した・・・」

(やった!)

「でも居合は下手になっているぞ」

・・・・あら?

どうやら鞘引きを意識する余り、上半身が捻れていたようです・・・。


ライブレポート8
http://www.green.dti.ne.jp/housuu/p8.html
posted by 塾頭 at 21:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2008年09月07日

初めての感覚

・・・居合刀が軽い?!

甲斐駒での合宿稽古の後の、渋谷道場での朝稽古の時でした。
まあ、居合刀とは言っても、われわれ素人は模造刀の玩具ですけど・・・。

この数年来の稽古で、最初の頃から比べれば筋力もついたのに、
それでも思うようには刀は振れません。

でも、
本日、
初めて、

ある感覚が見つかりました。
この感覚の延長上に「執刀箸の如し」があるのでしょうか?


posted by 塾頭 at 00:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2008年09月05日

親子剣道教室

ここ最近は大荒れの天気が続き、道中の心配をしていましたが、
士道会親子剣道教室も、無事に治まりました。

それにしても、同じ場所で同じ時を生きていても、
大人の一秒と子供の一秒の何と違うことか。

われわれ大人は、良い意味でも悪い意味でも安定しています。
そして更に歳を重ねれば、身体は固まり、心も固まり、
動じないどころか、感じなくなり、終いには動けなくなってしまいます。

大人に比べると、子供達は一秒一秒変わります。
変わるのが仕事みたいなものです。
身長だってたった一夜で伸びます。
それだけの力が内在されているのです。

同様に心の動きも活発です。
全力で笑い、全力で怒り、全力で泣きます。
大人がこれをやったら奇人変人です。

子供であることの最大の特権。
それは罪を犯しても裁かれない少年法ではなく、
1日24時間を自分の成長のためだけに使えるということです。

何と言う贅沢!

「時間が無い、時間が無い」
と慌てている大人達はそう思うでしょう。

しかし少年少女よ、

光陰矢の如し
少年老い易く学成り難し

成人までなんてあっという間です。
有史以来、多くの大人達が、時間を無駄にしたことを後悔しています。
先祖代々、同じ後悔を繰り返すのも芸がありませんので、
この21世紀の少年少女達は、この悪しき習慣を克服して下さい。

そして成人の暁には、力でも技でも感受性でも徳性でも、
ご両親を超えてもらいたいです。

良い教育のために必要なものが幾つかあります。

【良き手本】
人間、手本があれば出来るようになります。

「何メートルを飛び越えた」
「何秒の壁を切った」

オリンピックでも陸上でも、この事実が手本となり、
それまで多くの選手がどうしても超えられなかった記録が、
どんどん塗り替えられるようになるそうです。

【共に学ぶ】
いくら仕事が忙しいとはいえ、子供だけ学ばせおいて、
父親がビール、母親がお菓子では、
子供は将来、引き篭もりか金属バットか。
親子が共に何かを学ぶという機会はとても貴重な体験です。

【厳しい環境】
所謂、温室育ちの野菜と野の野菜。
生簀の魚と大海原の魚。
全く勝負になりません。

三食昼寝付冷暖房完備運転手付では、
子供の可能性を狭めるだけです。
殺してしまったら終わりですが、殺すぐらい鍛えないとものにならないようです。

ナポレオンを破ったウェリントン公は、
「ワーテルローの戦いはイートン校の運動場で勝ち取られた」
と語ったそうです。
「売り家と唐様で書く三代目」の日本と違い、
あちらのエリート教育は本当に厳しく、
「イートンの校庭で死ぬほど鍛えたから勝ち残った」そうです。


これらの三つの条件を満たす場所は、なかなか無いと思います。
士道会・・・良い場所です。

544.jpg

ベートーヴェン:ウェリントンの勝利(戦争交響曲)
ドラティ&ロンドン交響楽団
http://www.hmv.co.jp/product/detail/579544
posted by 塾頭 at 19:15| 日記

2008年08月22日

急がば急げ

前回の朝稽古の日、
私は家を出るのが遅れて、流長の一本後の電車で池袋に向かいました。
いつもは山手線を使いますが、今日は時間ギリギリなので、
湘南新宿ラインを使い、渋谷へ行きました。

車中は子供達の姿が多く、夏休みを実感させます。

湘南新宿ラインの渋谷駅は、ハチ公口側が目的地だと非常に遠くて不便な駅ですが、逆にうちの道場には近くて、とても便利です。
坂を登って道場に到着すると、師範の車が到着しています。
急いで道場に入りました。

・・・ん?

先に出た流長が、私の後から道場に入っていました。
・・・湘南新宿ラインが勝ってしまいました。

この日の師範は、次席師範の若先生お一人。
師範がお一人なのは、ここ最近では久しぶりです。
われわれ士道会の門弟は、文字通り命を捨てて稽古していますが、
そう毎週毎週「師範の詰め合わせセット」では身体が持たないのも事実です。

居合
剣道形
剣道

いつもの通りの稽古を、いつも通り死ぬほど稽古しましたが、
思ったほど汗をかきませんでした。

同じような暑さでも、やっぱり残暑です。
待望の秋の到来です。


日中はそれなりに暑くなりますが、雨が降る度に涼しくなってきます。
今宵も心地良い、秋の夜風が吹いています。

・・・さて、明日は年に一度在るか無いかの、
師範不在の朝稽古の日です。
posted by 塾頭 at 23:26| 日記

2008年08月13日

残暑お見舞い申し上げます。

今年の立秋は旧暦の七夕と重なりました。
立秋とはいえ歯車が変わるように、いきなり秋になる訳ではありません。
日が落ちれば、夏の虫と秋の虫の二重奏を楽しめますが、
昼間はまだまだ暑い日々は続きます。

普段はそんなに暑い寒いと文句を言わない塾頭ですが、
今年の夏は普段口にするこもないコカ・コーラが美味しそうに見えるぐらい、暑いです。

人体の機能は、使わないとその機能は無くなります。

歩かなければ、歩けなくなります。
食べなければ、食べられなくなります。
汗をかかなければ、汗をかけなくなります。

生物としては致命的なぐらい運動不足の現代人ですが、
冷暖房完備のおまけ付きですので、更に汗をかかなくなっています。
トマトでもジャガイモでも、原産地と同じ環境で育てないと、
本当には美味しく育たないそうです。

乾燥して痩せた土地の野菜は、
過保護に育てると不味くなるそうです。
人間も同じです。
甘やかすと碌なことありません。
夏なら大汗をかくのが普通です。


・・・暑い!
朝7時でこんなに暑いのだ。


一日中冷房の部屋にいるのは間違っています。

・・・暑い!!
これは水分補給しないと死ぬ。


夏にちゃんと汗をかかないと、秋に適した身体に変わりません。

・・・暑い!!!
水分補給しないと秋まで持ちません。


今回の東京道場の稽古、
今までで一番辛かったような気がします。
途中途中で水分補給していましたが、
胸苦しい感じと両腕が痺れる感じがあります。



・・・あと百歩で熱中症?


posted by 塾頭 at 01:00| 日記

2008年07月10日

放蕩娘の帰還

【おことわり】
当稽古日記の文責は、塾頭こと柏倉 智個人に帰することを、
今更ではありますが、ここに明記させていただきます。
ご意見・ご感想などがございましたら、お手数ではありますが、
info@youkikaku.netまでお願いします。


士道会の道場は、山梨は甲斐駒にあります。
山梨といえば「ほうとう」が有名です。
・・・だからと言う訳ではありませんが、今回、放蕩娘が帰ってきました(笑)

七夕に。
しかも新たな十二年の七夕に。

思えばこの士道会にも、
たくさんの老若男女が「道」を求め、門を叩きました。
私、塾頭は士道会の第一期生ですので、皆、弟弟子であり、妹弟子です。

その全員が生き残っていれば、この広い道場の武者控えからも人が溢れるぐらい手狭で、いざ稽古が始まれば、狭い水槽の中の金魚のような状態になっていたでしょう。

しかし皆、社会人です。
基本的に勉強だけしていれば良い学生時代とは、義務や責任の重さも違いますし、
それぞれが仕事や家族のこと等々、様々な問題をかかえています。

何か重い物を動かす時には、当然ですが「力」が必要です。
ガス欠の重いバイクを動かすのは、結構大変なことです。
電車の発車時にも、莫大な電力を必要とします。

人間が何か物事を始める時も全く同じです。
でもそれをやり続ければ「慣性の法則」が働き出しますので、始めの時と比べれば、
楽に続けることができます。
ガス欠のバイクも一旦動き出せば、後は楽々押して行けます。

しかし、何かの事情でその動きを止めてしまい、
完全に停止してしまったら、また最初からやり直しです。
さっきまで楽々動いていただけに、今度はより重く感じます。

これが何回か続くと、だんだん押し出す気力がなくなり、
今日ぐらい、今週ぐらい、今月ぐらいとか言い出して、さぼり出します。

全ての人間は天才です。
それはやらない理由は百でも千、あっという間に思いつくからです。
しかも基本的に自らの過ちを認める勇気がありませんから、
やらないことを正当化して、己を慰めます。

でも考えてみると、この世は無常―常ならず―なのですから、
何かを続けるということ自体が、実は異常な行動なのかもしれません。
政治学者の丸山真男は「真の保守主義とは過激なものである」と言ったそうです。

今回帰ってきた放蕩娘のAさん。

止めた時、
止めた後、
復帰を考え出した時、

どんな想いが心に生まれ、そして消えていったのでしょうか。
戻って来るのに、さぞ勇気が必要だったでしょう。
賞賛に値します。

でも離れていた時間は、あまりにも長かったです。
後から入ってきた後輩達は、どんどん先に行ってます。
最初からやり直しです。
それも一番末席でやり直しです。

それでも幸せです。
やり直せるだけ幸運です。
間に合ったのですから・・・。

さて、次に帰ってくる放蕩息子&放蕩娘は誰でしょう?

Bさん? 刀磨いていますか?
Cさん? 防具に風通していますか?
Dさん? 就職しろよ(笑)



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レンブラント―放蕩息子の帰還
http://www.salvastyle.com/menu_baroque/rembrandt_son.html
posted by 塾頭 at 20:02| 日記

2008年06月12日

先月は大地震、今月は・・・。

甲斐駒まで稽古の旅に出ていますと、
その前後に様々な事件が起こることがあります。
稽古の間は基本的に娑婆の情報を入れませんので、
全く知らずに東京に帰ることもしばしばです。

先月は四川省での大地震がありました。
何も私の誕生日に起こらなくても・・・と思いました。
そして今月は、日本は元より世界中を震撼させた、秋葉原でのあの大虐殺事件です。
私の知人も秋葉原で働いていますが、混んでいる秋葉原駅を避けて、御徒町駅で降りたので、難を免れたそうです。

素人ではございますが、武の世界の端で生きている塾頭すので、
この事件は色々と考えさせられる事件でした。

もし、あの場に居たら、
どのように行動しただろうか?

士道会では、道場の外で技を使うことは禁止されています。
「抜くな抜かすな、斬るな斬らすな」が掟です。
喧嘩のための剣ではないのです。
まともな人間になり、生きるための稽古・修行なのです。

そして道場では「即断、即決、即行」を学びます。
うじうじくよくよ悩んでいる時間はありません。
稽古中に身体や心の動きが止まれば、その瞬間斬られます。
実戦だったら、それでこの世とおさらばです。

もしもあの日、あの時、あの場所に居合わせたら、

・・・逃げた?
・・・戦った?
・・・守った?


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posted by 塾頭 at 22:22| 日記

2008年05月14日

不覚!

昨夜のお言葉はこのことだったのか!

昼過ぎに甲斐駒道場に到着して、
車から荷物を降ろしている時のことでした。

竹刀袋がない・・・。

今まで色々な物を忘れてきましたが、
こんな大物を忘れたのは初めてです。
世界的なチェリストが昔、
タクシーに楽器を置き忘れたことがありましたが、
「世の中にはありえないことはない」を実感しました。

「竹刀をよくよく磨いておけよ」
と昨夜、何度も何度も師匠に言われていたのです。
うちの師匠は一部で予言者としても有名で、
私自身も何度もその予言の成就を見聞きしています。

しかし凡夫の悲しさか、
私は昨夜の師匠のお言葉を、
表面的にしかとらえることができませんでした。

師匠の予言の証人になれたのは名誉なことではありますが・・・。
それにしても恥ずかしい!
師匠に合わせる顔がありません!!

道具を取りに東京に戻ってしまいました。
今日の稽古は捨てても、
明日の朝稽古を万全の状態で迎えたい一心でした。
この時は冷静に判断して行動していると思いましたが、
それも表面的でやはり焦っていたようです。

諸行無常に諸法無我、一期一会のこの世です。
どんな王さまでもお金持ちでも、一庶民でも乞食でも、
明日の保障など誰にもありません。
これが本当の平等です。

確かに士道会は昼稽古より朝稽古を重視していますので、
それだけなら私の判断は間違っていません。
しかし、もっと大事にしているのもがありました。

「今を生きる」ことです。

間に合わせの道具でも、師匠の前に立つべきでした。
稽古するべきでした。
誰にも明日は約束されていないのですから。
それを教えられたのは、翌日の朝稽古の後でした・・・。

往復の高速道路は、天候も荒れていたのが原因なのか
いつも以上に多くの事故や故障車がありましたが、
何とか無事に道場に戻ることができました。

稽古は続いています。

間に合った・・・というか待っていて下さったそうです。
道衣に着替えてお沙汰を待ちます・・・許しが出ました。

何時間も稽古している仲間達に追いつかなければなりませんし、
あとどれぐらい時間が残っているのかもわかりません。
勢いの塊となり、切り替えし、面の打ち込みを行いました。

師範や先達が上手に引き出して下さったので、
短い時間の中でしたが、今までで一番素晴らしい打ち込み稽古ができました。

終わりよければ全て良しの心境で稽古を終えましたが、
そんな気持ちも、あっという間になくなってしまいました。
これからはこの最高の勢いを「最低レベル」として
稽古していかなければならないことに気がついたからです・・・・。


私も今年、四十歳になりました。
古の賢人賢者に習倣い、惑わず稽古、修行に励みます。










posted by 塾頭 at 17:22| 日記

2007年11月30日

月下武人

私達の士道会は、昔気質の道場です。
それは単なる懐古趣味ではなく、本当の日本人になるために、
大和心を知るために必要なことだからです。

昨今は冷暖房完備の道場が多いようですが、
士道会は夏の暑さの中で、冬の寒さの中で稽古を行います。
ですから春と秋の素晴らしさは格別です。

今年も冬がやってきました。
午後の稽古も夏時間なら「これから本番」という時間帯ですが、
冬時間では日没との戦いです。

昔気質の道場ですから、蛍光灯とも無縁の世界です。
夜明け前の闇の中から稽古を始め、
日が傾き薄明の中で剣を振り、
見えなくなったら終わりなのです。

灯りは文明の象徴です。
人類は現代科学を用いて、不夜城の世界を造りました。
この人工の光で多くのものを手に入れましたが、
同時に多くのものも失いました。

暑さ、寒さ、明るさ、暗さ、
人間が当たり前に持っていた感覚を取り戻すのが
士道会の稽古であり修行なのです。

西の山に日は沈みました。
夜の始まりです。
闇が広がり、気温も下がります。
休むことなく必死に動いていますから、
寒さの方は問題ありませんが、
相手がだんだん観えなくなってきます。

五感、六感を総動員して動いていますし、
士道会の稽古で以前からくらべれば、
遥かに夜目が利くようにようになりました。
でも流石にそろそろ終わりでしょう。

・・・が、それからがなかなか終わりません。
そして何だかさっきより、幽かに相手が観えます。
何だか明るいような・・・。

(あ、今日は満月だ!)

東の窓に美事な月夜霊さまです。
総師範の号令で稽古を中断し、軒先へ出ます。

何年もこの道場に通って稽古していますが、
満月でしかも晴れの日に稽古日が当たることは
いままでありませんでした。

これは天地(あめつち)からの素晴らしい贈り物です。
明るく便利な蛍光灯の下での稽古では、
この感動を味わうことはできません。
こんなに明るいのですから、まだまだ稽古ができます。

月夜霊さまの見守る道場に戻り、
稽古再開です。
posted by 塾頭 at 17:41| 日記